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感情

Q1: 感情って何?

脳科学の定義では、情動(Emotion)と感情(Feeling)に分けられます

「感情はどこにある?」と聞かれたら皆さんはどのように答えるでしょうか。胸を指す人もいるでしょうし、頭を指す人もいるかもしれません。

実は感情がどこにあるかは、まだ完全にはわかっておりません。

ある研究者は、生理反応によって感情の変化が起こるといいます。お腹がすくと不機嫌になる、といった生理反応により感情の状態が変化するという説です。ある研究者は、感情は脳で作られるといいます。事故で脳を損傷した人が、感情を表さなくなったためです。さらに、ある研究者は両方だといいます。興奮剤を注射してどんな気持ちかたずねたところ、周りの雰囲気によって「喜んでいる」と答える人もいれば、「怒っている」と答える人もいたためです。「興奮剤の投与で興奮していること(生理反応)」、「周囲状況の理解(認知影響)」の両方が必要だというわけです。

これらの研究は、主に脳科学と心理学の分野で行われてきました。しかし脳科学と心理学とでは、検討の仕方が異なっています。心理学での感情は、研究者によって定義が異なります。これに対して、脳科学の世界では感情のもととして情動というものがあると定義されています。

STは脳科学を基準としながらも、心理学での実験結果も取り入れ、情動(Emotion)は「生理反応で確認できるもの」、感情(Feeling)は「認知影響を受けて揺らぐもの」として考えています。感情は認知影響(環境や状況などの影響)によって揺らぐものであり、認知の仕方は人によって異なることが多い(経験や知識量などによって異なる)のです。STによる感情推定結果が人と一致するかどうかは、こうした個人差の影響や認知影響を強く受け、人によっては一致しない場合もあります。

一方、情動については人同士でも一致しやすく、よって、STと人でも比較的高い率で一致することが確認されています。最新の脳情動研究では脳とSTの因果関係においても一致する例が確認され始めています。

「感情とは何か?」最もこの研究で難しい質問ですが、当社の研究では脳科学の定義を採用し、認知科学、生理学両方の立場でも定量的に説明できるよう以下のように定義しております。

  • 情動(Emotion): 主に脳における短時間で反応する、生理反応で確認できる心的作用
  • 感情(Feeling): 主に情動から起因し、認知影響(環境や状況など)を受けて比較的長時間継続する心的作用

これは、脳科学と心理学だけではなく、当社の12年間の実験結果との一致から導いた定義でもあります。

Q2: 情動は脳の反応ですか?

はい、最終的には脳での反応といえます

この問題は「感情の基本問題」とされ、感情の起源論争として100年近い歴史があり、心理学的には現在も決着をみておりません。しかし科学的には、身体反応、外部刺激、ホルモン影響、認知影響などを受けても、起因や原因、誘因に関わらず最終的に反応し、判断する部位が脳である以上、情動は脳における反応といっていいとされます。

認知科学では、「感情は状況や環境の認知影響も受けて生成される」とするシャクター・シンガー感情2因説を主張しており、それを実証する科学実験もあります。それに対して「身体反応が情動や感情を作りだす」とするジェームス・ランゲ説や、「中枢神経回路の反応」とするキャノン・バート説もあり、それぞれに実証実験結果もあります。

当社は、この諸説全てに物理的説明ができる、「遺伝子により設計された「身体反応や認知影響も含む神経伝達物質やホルモン、免疫系の相互循環系メカニズム」と、脳反応からの感情ラベルによる情動生理反応の制御と恒常性維持機能」という立場で、「情動が意欲や意思を生み出し、思考・判断に強く影響する」という原理を再現しようと試みております。

これらの原理を研究するために、現在の脳科学では大きく以下の二つの分析手法があります。

  • 侵襲型: 実際の脳に電極などを埋め込んだり、差し込んで反応を見る手法
  • 非侵襲型: 脳画像や脳活動を動的に把握するために外部装置を使う方法

それぞれに優れた長所がありますが、どちらも完全ではありません。侵襲型では、脳全体の活動の把握が難しい問題があります。またチンパンジー以上の霊長類では、実験が禁止されております。非侵襲型では、解像度やレスポンス(反応速度)や分析の奥行きなどが全て整っているセンサーがないため、実際問題としては各種装置の併用が必要となっています。そのために、諸条件の設定が困難です。また神経細胞レベルの活動を直接分析できないため、完全な活動を把握するにはまだ課題が残っております。

そこで当社では、もう一つ新しい分析手法を提案しております。それが、人における脳と、そこに直結する声帯のダイナミクス・レスポンスを用いて、非侵襲型での脳活動の相関関係を見る手法です。これをSTの原理を利用した、脳情動研究として進めております。

Q3: 情動や感情は行動で分析できないの?

直接の分析はできませんが、行動予測(正答8割以上)はできるようになりました

女性はあまりに嬉しいと泣き出す習性があります。 また、とても怒っている時も泣き出すとことがあります。その一方で男性は怒りをこらえていると、表情や行動にも出ません。

よって、脳科学や薬学が発達して心を物理的に分析できるようになるまでは、行動科学的に感情は議論できないとする考えもありました。しかしfMRIや向精神薬の登場で、感情や情動に対しても、定量的な物理考察を行える環境が整ったのです。

ただし、行動科学的ラベルのついた音声での検証は、主観や生理と比較するよりは説得力があります。当社以外での実験ですが、コールセンターにくる音声を無作為に選択して、 STの出方のみからその人の行動予測(入会・退会、購入・非購入、自殺の有無、支払いの有無、滞納の事実など)を行いました。 その結果、8割以上の正答率で行動を予測することができました(機密保持の問題により詳細は非公開)。

Q4: 感情は定量計測できるの?

情動は現在の技術でも定量計測できますが、感情の計測は困難です

当社ではfMRIや身体反応と主観評価を組み合わせて、情動や感情を分析しております。情動は、多くの国際的に有名な科学雑誌の報告にあるように、脳での反応で確認できます。また、ホルモンや身体反応でも確認できます。

これに対して認知影響を受けやすく、それにより不確実性が高くなる感情は、本人ですら時間を置くと評価が変わります。そのため本人の主観でも6割も一致しない場合が多く、脳や身体反応で分析するしかない状況です。

脳内の感情の発生メカニズムは、情動ほど簡単ではないことが予測されます。また音声収録時の問題として、意図的に発話された感情音声はパワーや声色による演出が目立ち、自然収録された音声と比較して本当の感情と言いにくいことが挙げられます。その一方で自然に音声を収録する環境では、発話瞬間の本人の気持ちを確認することが難しいという問題があります。特に、その音声に対して第三者が評価を行うと、その結果がよりばらつきます。

そのため、当社が開発するまでは、発話瞬間の脳と、身体反応と、本人の主観や会話を同時に計測する手段がありませんでした。当社のシステムを用いて、現在各研究機関で進められている研究により、将来的には感情の定量化基準ができると考えられます。

Q5: 音声から情動や感情を分析できるのはなぜ?

STは生理反応で確認できる情動を基準にして、主観的な感情を推定するからです

人間は相手の声や表情により、相手の気持ちを察しようとします。そこでSTでは人間の声に着目し、声のみから感情の推定を行う技術を開発しました。STがどのようにして声から感情を推定しているのか、声が作り出される仕組みから順を追って説明します。

声は次のような経路で作られます。

  • 肺が空気圧を作り出す
  • のどの奥にある声帯が不随意に振動して、音源としての空気の粗密波を作り出す
  • 声道(のどや口など音を共鳴させる部分)が意図的に言葉を作り出す

このようにして作られた声(空気の粗密波)を、コンピュータに取り込み以下のように分析を行います。

  • マイクと録音回路により、声(空気の粗密波)をデジタル信号に変換する
  • 変換された信号を、分析してパラメタを計算する

感情や情動の情報は必ずしも言葉の意味に依存しません。そこでSTでは、情動を司る脳と、迷走神経で直結する声帯の状態や韻律をパラメタ化する、独自の手法で計算しています。また、同じ声を人が聞いた場合に、どのような感情と感じるかを調べるため、実際に収録した音声を他の複数の被験者に聞いてもらい、感じた感情を記録する実験を行いました。そして複数の被験者間で評価が一致した音声だけを選び出しました。

STは、声帯の状態や韻律などから分析した音声パラメタを元に、人がどのように感じたかという結果を反映させて作成したプログラムを用いて、声から感情を推定しています。感情は認知影響や個人差の影響を受けます。よって、感情の推定には人の感じ方を反映させたロジックが適当であると考えました。

一方、人の感じ方でも一致しやすく、生理反応(呼気や脈拍、脳活動など)でも確認できる情動については、脳や生理反応の最終出力としての声帯の状態を基本としたパラメタなどを使って、人の感じ方や生理反応と比較しながら開発を進めました。この研究成果によって、当社の代表取締役は徳島大学より工学博士を授与されました。

Q6: STは精神分析や心理分析ができるの?

STでも抑うつ状態や躁うつ状態、ストレス検知では、有効性が確認され、現在はPSTにまで進化しております。

既存のSTではない、専門家用に作られたPSTというアプリケーションでは、心理分析の一部ができるようになりました。これを現在、臨床の現場で検証しております。PSTでは、抑うつやそう状態を、音声から的確に確認できるようになりました。また、東日本大震災での自衛隊による隊員のストレス検知実験では、海外製品も含み我が社の製品のみ有効性を確認されました。この結果を国際学会(軍医学会)で発表、受賞しました。この成果により、その後の共同研究継続、文科省の科研費取得に至りました。現在、先進国での防衛関係に正式に採用科学検証された世界唯一、最高性能の技術であることは、多くの国際特許と共に確実であるといえます。

Q7: 個人差にはどう対応していますか?

個人差の影響は受けないように作っております

人には個性があります。そして、人により声の特徴は違います。しかし声の大きい人や早口の人が、普通の人と比べて感情や心の状態が違うとは考えにくいです。そこで大量の音声資料と、多人数の主観評価から全員一致する優れた音声を取得して、解析パラメタを作り出しております。これで、個人差に関係なく有効な分析を可能にしております。

詳しく説明すると、音声を自動分析する場合、マイクの性能や口との距離が変化することで、声の大きさは変わります。そして個人差を含む場合、個人補正を行わないと判別できないので、自動分析には不向きです。これでは音声の自動分析を実用化することができません。

当社の過去の実験では「わざと演技して怒ると声を大きくしたり、声色を変えてみたり、話速を変える傾向がとても強い」ことを開発初期(1999年)より経験しておりました。エンターテイメントでの利用であれば問題はないかもしれません。音声感情研究でも1990年代では、声の大きさや話速も対象になっておりましたが、今は脳の情動活動と無縁の可能性が高いと考えられています。

そこでSTは、大規模音声データから大量の主観評価をフィルタにして、安定しないパラメタを排除しております、それでも200パラメタほどを分析しております。それらのパラメタについて 脳の情動活動に影響するかどうかの確認をしています。 これにより、主観でも脳でも有意性のあるパラメタと、人の感じ方を再現した判定ロジックの構造になりました。 多くの主観が一致し、脳でも確認が取れるパラメタは、個人差の影響をほとんど受けない状態になると考えられます。 脳情動活動だけが、感情や気持ちの要素だとは限りませんが、最初の段階で本人および第3者の主観で判別されていますので、 主観と脳の両方での確認となりました。

ただし、MRI、MEGや脳波測定、光ポトグラフィーなどの脳センサ技術の限界もあり、充分な精度を持って人による侵襲系の実験を行うことはできません。そのため当社の研究でも、事故等による損傷例による、情動活動の部位の断定を脳活動の根拠にしております。脳の活動やメカニズムは、完全に科学的に解明されているわけではありません。よって、脳の情動活動との整合性も、科学的な事実として完全であるとはいえませんので、その点にご注意ください。

Q8: 日本人と外国人での違いはありますか?

あります

英語圏は子音を中心とした言語圏、日本は母音を中心とした言語圏です。生理反応である情動は別として、感情やとくに心理要素において、日本人と外国人とでは大きく異なります。実際当社で行った、外国人が日本人の気持ちを声から当てる実験でも、感情は55%しか一致しませんでした。

簡単に外国の音声製品や心理テストをもってきても、独特な日本語文化圏での日本人の感性、繊細な心理に合うものは見つからないでしょう。 これは心理学などでもよく指摘されております。また海外の心理ソフトや嘘発見機もたくさんありますが、これらの多くには科学的根拠がありません。当社の研究成果は、国内外の学会や論文誌に多数掲載され、国内・国際特許も多く取得しています。

Q9: 感情や情動の他は何ができるの?

歌声をきれいな線で表示できます

日常生活環境でも堅牢に声帯の振動をキャッチできる、STピッチャー(オプションソフト)は、基本周波数として「歌声」をきれいなカーブで表現できます。

Q10: 音声認識と違うの?

まったく違います

音声認識は、無尽蔵の人の言葉を認識させようとしますが、STは生理的に限られた情動を定量検知して、感情を推定します。音声認識の場合、言語という正解があります。しかし感情はその正解すら曖昧で、正解の辞書が作れません。「アンケートや人の主観程度の判定では、正解が明確にならない感情や心理」を対象にする場合、音声認識よりも厳しい条件で、生理と音声信号処理の基礎から見直しをする必要があります。

言語は声道での意図的運動で作られます。音声認識に用いられるのは、声道情報(F1, F2, F3など)から隠れマルコフモデルと呼ばれる確率認識辞書を使って、あらかじめ登録された言葉辞書に最も近いものを選ぶ手法です。一方STは、音声から抑揚と声帯(音源)の状態を解析し、情動を定量分析し、感情を推定します。

音声認識には、人工知能と同様に「認識辞書のパラドックス」があります。認識辞書に多くの言葉を登録すると、認識エラーが多くなります。また、人の無尽蔵な発話バリエーションに対応し続けると、いつかメモリの限界がきます。 また少ない登録では、同じ意味でも多用な言語バリエーションに対応することができなくなります。

開発当初、STはこうした音声認識のパラドックスを回避させるために、リズム感で似たような言葉を絞り込んだり、感情を使って不認識の場合に対応したり、機械では判らない誤認識の察知を行ったりすることを目的としてスタートしました。しかし、音声認識自体の認識率が、根本的に実用レベルに達していなかったため、STを分離独立して研究することにしました。

Q11: 試してみたいのですが?

すぐに試せます

任天堂DSでココロスキャンというゲームソフトを提供しております。こちらを使えば、誰でもすぐにSTを試してみることができます。

Q12: このシステムで「ウソ発見」はできますか?

できません。残念ながら今のところ、ウソ発見は科学ではありません

一般的な工学者からすると感情測定もウソ発見と同じように見られがちですが、生理・脳研究者が実証しているように、情動は情動物質としてのホルモンや、神経伝達物質や脳活動で物理確認をすることができます。しかしウソ発見の場合、いわゆるウソ物質というものがなく、言った本人の生体物理反応では確認できません。そのため、自動的に嘘を発見することは科学的とは言えません。

最新のfMRIを使った実験でも、未だに客観的で再現性のある科学事実として成功したという報告がありません。日本の法廷証拠としてもポリグラフ(嘘発見)は使われておりません。また、たとえウソを言っていても、当の本人がそれを信じてしまう現象があり、 その線引きを明確にはできません。一方、行動と音声を直接関係付けるとしたところで、両者はあまりにかけ離れているため、途中に多くのバイアスが生じます。そのため複雑系や統計、確率モデルを用いてスーパーコンピュータで解析したとしても、判別は難しいといえます。

Q13: 音声から個人を自動的に特定できますか?

誰もできていません。今でも人が聞いて判断しています

TVや映画でよくみられることから、声紋自動判定のような技術はもう一般的と思われています。しかし100名以上の音声から、音声再生なしで、音声波形や周波数などの分析結果のみを用いて個人を特定する技術は、いまだ確立していません。

日本以外の先進国でも、近年では「音声による自動個人判定」は、裁判の有力な証拠として説得力を持つことは難しい状況です。音声研究で世界的にも有名な科学警察研究所でも、いまだ研究段階です。これらは一般的な音声研究者なら、誰でも知っている事実です。

結局現在でも、人間が再生された音声を聞いて主観的に評価することや、音声波形の似ている箇所を指摘すること程度しか、音声による個人特定はできていません。

Q14: 前の感情が今の感情に影響するの? 引きずられるの?

そういう場合もありますが、そうでない場合が多いです

もしも確実にAという感情の後にBという感情反応が来ると言い切るのであれば、全ての人間は同じ刺激に対して同じ反応を示すため、それが永遠に連鎖してしまいます。よって確実に影響する、ということはできません。

そのため、今の感情が前の感情に引っ張られようが、ホルモンの影響を受けようが、感情や情動の最終判断をする脳と直結する身体部位(声帯や神経伝達物質)から、リアルタイムに情動変化を分析する手法が妥当だと当社では考えます。

Q15: 動物の感情はわかりますか?

わかりません

動物の感情をどのように確認したらよいのかわかりません。飼い主がペットの気持ちを行動から理解できるとして、システムの性能を飼い主が確認できるのなら、そもそもこのシステムは必要ないかもしれません。

Q16: STで人の微妙な感情の変化までとれますか?

微妙な感情の変化まで分析できます

カラーテレビ(色の三原則RGB)と同じように、STは代表的な気持ちを色と量で表示し、その中に含まれる微妙で複雑な気持ちを詳細に分析します。

主張が強くて、熱い気持ちをレッド(R)、単調で、静かな気持ちをグリーン(G)、冷たくて、寂しい気持ちをブルー(B)、明るくて、快活な気持ちをイエロー(Y)としております。我々は、これを気持ちのスペクトルという意味で、RGBYと表現しております。

Q17: 面白ければそれでいいのでは?
Q18: どうして感情の定量化が必要なの?
Q19: STによる感情認識の処理は重いの?
Q20: STの感情識別率はどれくらい?
Q21: STって信用できるの?
Q22: 他社の製品との比較は?
Q23: STの学会評価はどうなの?

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