RESEARCH CASE 研究事例

うつ|うつ病検出に有効な
独自音声バイオマーカー開発

うつ病患者の発話音声には「鈍く、単調で生気がない」といった特徴があることが指摘されている。本研究では、独自に開発した対象者の「覚醒度」を推定する音声バイオマーカー(ALVI: Arousal Level Voice Index)が、うつ病傾向の検出において有効な指標となりうることを明らかにした。

実験では、銀座泰明クリニック(H1)、防衛医科大学校病院(H2)の受診者を対象とし、発話音声から算出されたALVI値によるうつ病検出精度を確認。ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)の測定スコアを用いて区分された、うつ病あり・なしの2群間においてALVI平均値を比較し、H1では10%(p = 0.094)、H2では1%(p = 0.0038)の水準で有意な差が認められた。なお2群間分類におけるROC曲線下面積(AUC)は、H1では0.66、H2では0.70であった。

Title
Evaluation of the Severity of Major Depression Using a Voice Index for Emotional Arousal

Author
Shuji Shinohara, Hiroyuki Toda, Mitsuteru Nakamura, Yasuhiro Omiya, Masakazu Higuchi, Takeshi Takano, Taku Saito, Masaaki Tanichi, Shuken Boku, Shunji Mitsuyoshi, Mirai So, Aihide Yoshino, and Shinichi Tokuno

Journal
Sensors (Basel): 20(18), 5041

Year
2020

うつ|うつ病検出に有効な独自音声バイオマーカー開発

認知症|非言語的な音響特徴量を用いた
軽度認知障害(MCI)および
認知症のスクリーニング手法の開発

認知機能低下の進行を防ぐためには、MCIや認知機能障害を早期に発見し、薬物治療などの適切な介入を行うことが肝要である。音声を用いた認知症スクリーニング研究の多くは、テキスト情報を用いて機械学習モデルを構築してきたが、十分なテキスト数を得るためには非常に長い録音時間を要する。そこで本研究では、2種類のシンプルな発話タスク(「あー(3秒間)」と「ぱたか」の繰り返し)から非言語的な音響特徴量を抽出し、機械学習モデルにより健常者・MCI患者・認知症患者の3群判別を試みた。のべ195件の音声データを用いて5分割検証を行ったところ、平均AUCは0.81、3群判定の正解率は66.7%(チャンスレベル33.3%の約2倍)であった。以上から、非言語的音響特徴量による簡便なスクリーニング手法が、認知機能障害の早期発見および継続的なモニタリングに有用であることが示唆された。


Title
Novel Screening Tool Using Non-linguistic Voice Features Derived from Simple Phrases to Detect Mild Cognitive Impairment and Dementia

Author
Daisuke Mizuguchi, Takeshi Yamamoto, Yasuhiro Omiya, Koji Endo, Keiko Tano, Misa Oya, Satoru Takano

Journal
Journal of Aging Research & Lifestyle, 12:72-76

Year
2023

認知症|非言語的な音響特徴量を用いた軽度認知障害(MCI)および認知症のスクリーニング手法の開発

心不全|音声による“脳性ナトリウム
利尿ペプチド(BNP)”の予測

横浜市立大学附属病院の岡田医師と共同で、心不全増悪の判断に一般的に用いられるNYHA心機能分類の予測において、心不全の状態を反映する血中ホルモン「脳性ナトリウム利尿ペプチド(以下、BNP)」と、今回我々の共同研究チームで開発した心不全特異的な機械学習モデルの性能の比較を行った。

その結果、これまで再入院の最も強い予測因子とされてきたBNPよりも、本機械学習モデルの方が、より高い精度でNYHAにより定義された心不全増悪を判定できることを報告した。上記より、心不全の音声症状を数値化する我々の心不全音声バイオマーカーが持つ、非侵襲、遠隔、簡便、高精度で心不全の悪化を早期に検知できる技術特性が、次世代の心不全管理を切り開く可能性があることが示唆された。

Title
Clinical Utility of Machine Learning-Derived Vocal-Biomarker in the Management of Heart Failure

Author
Kozo Okada, Yasuhiro Omiya, Daisuke Mizuguchi, Koji Endo, Yusuke Kobayashi, yasushi matsuzawa, Noriaki Iwahashi, Masami Kosuge, Toshiaki Ebina, Kouichi Tamura and Kiyoshi Hibi

発表学会
The American Heart Association's 2022 Scientific Session(Chicago/Virtual)

学会開催期間
2022.11.5-7

心不全|音声による“脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)”の予測